2016年7月〜12月まで、琉球新報連載エッセイ「落ち穂」にて、
当店のM子店長こと砂川真樹子が執筆しました。
第1回目は7月2日(土)掲載。
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島の1番地から
「おばさーん、コーラーをちょうだーい」
「はぁい、ゴーヤーね〜」
「あがい〜、コーラーよ〜」
本日も、面白おかしなコントのような会話を耳にしながら、島の市場の一日が始まる。
早朝、市場の広場では、カラフルなビーチパラソルを日よけ代わりに、おばぁたちの露店でにぎわう。集落売店からの買い付け、仲買人、近所のなじみ客とおばぁたちの方言が混じった会話が弾んでいる。
夏の時期には、島ラッキョウ、島トウガラシ、黒あずきなどの島野菜のほか宮古みそ、カツオのなまり節、ニンニクやパパイアの漬物、手作り豆腐など島の食材を使った加工品も並ぶ。
露店のにぎわいがひく午前10時頃から、中の店舗がゆっくりとお店を開け始める。鮮魚店、生肉店、八百屋、加工直売所、土産品店、飲食店など島の方言で「小さなお店」という意味の「まっちゃがま」が数十店舗ほど寄り合っている。
宮古島市公設市場は、旧下里公設市場の建物の老朽化と道路改良工事に伴う解体後、2011年に新装オープンした。住所は下里1番地。戦前戦後、島民の台所を担い商業の中心地だった。明治末期の下里番所から下里村役場を経て役場移転後に、芋、野菜、魚、豆腐を売りに人々が集まり自然発生的に生まれた。130店舗ほどあったという。
今の市場は新しくてきれいになったが活気に乏しい、と旧市場を知る方から今の市場のあり方など貴重な意見をいただく。地元の市場離れ、店主の世代間の価値観や市場を運営する市との考え方の相違もあり、なかなかまとまらない。
島の1番地はもう一番じゃないかもしれない。けれど、朝のおばぁたちの露店の風景や市場のまったりとした空間には、建物が新しくなっても時代が変わっても、懐かしさと新しさが入り交じる不思議な島の時間が流れている。素朴な味わいの島黒あずきのぜんざいが食べたくなったら、ぜひ、島の市場へ。赤瓦屋根の小さなパーラーでのんびりとお待ちしています。
【執筆者プロフィール】
砂川 真樹子(すながわ・まきこ)
1979年宮古島生まれ。
新聞記者をした後、島を離れ、雑誌ライターなどを経験。
宮古島市公設市場で夫婦で「385じま△ストア」を経営。
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《ネットショップはこちらから》
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385じま△公設市場本店(ストア)
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