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2016年7月〜12月まで、琉球新報連載エッセイ「落ち穂」にて、
当店のM子店長こと砂川真樹子が執筆しました。
第7回は2016年11月2日(水)掲載。

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満月と新月の塩

月の満ち欠けが、海の満ち潮や引き潮に関係していることは周知のとおり。珊瑚(さんご)や海亀は満月に産卵しヘチマやゴーヤー、マンゴーの花は新月と満月の周期に合わせて咲く。また、新月の間に伐採された木は、腐りにくく虫がつかないなど良質な木材が採れるという。70%が水分でできている人の体や心にも、月の引力が影響しているとも。昔から人は満月に生まれ、新月に死んでいくと言われている。

そんな月の持つ不思議な力を意識し、満月と新月の日に宮古島の海水を汲み上げ塩を作っているご夫婦がいる。昔ながらの平釜製法で手間を惜しまず手作りにこだわり製造中だ。ご夫婦によると、両日の大潮から満潮になる時の若々しく綺麗(きれい)な海水を汲み上げているという。お二人は高齢のため大量生産はできないが、島の海水からできた貴重な塩として観光客や地元客にも評判が良い。

旦那さんは、さまざまな仕事を自営し70代から塩作りを始めたバイタリティー溢(あふ)れる方。奥さんは、そんな旦那さんのアイディアや行動力に感心しながら連れ添ってきた。

ご夫婦の名字に「福」という漢字があるので、仲睦(なかむつ)まじいお二人にあやかれるよう願いを込め、お店では満月と新月の塩のセットを縁起物の「夫婦福塩」として販売中だ。

塩は、お店の神棚に供えたり、場や身体を清めたりするほか、料理に活用している。本土にいる友人がその塩を使い沖縄料理のマース煮(塩の煮付け)を調理したところ、旨味(うまみ)が出て美味しくなったと喜んでいた。塩おむすびもそうだが、米を炊くときにひとつまみ入れると、ごはんにツヤが出て美味しくなる。

沖縄では旧暦に重むきを置き行事を行う。旧暦では毎月1日が新月、15日前後が満月に当たる。その日は、家の台所に祀っている神様「ヒヌカン(火の神)」に手を合わせ、塩や米、酒、水を供え、自然が生み出す食物への感謝や家族の健康を祈る。昔の人々は、人間の命を繋(つな)ぐ自然に畏敬の念を抱き生活を営んできた。

島の塩を介して自然の尊さを感じていただけたら何より嬉(うれ)しい。

 

【執筆者プロフィール】

砂川 真樹子(すながわ・まきこ)
1979年宮古島生まれ。
新聞記者をした後、島を離れ、雑誌ライターなどを経験。
宮古島市公設市場で夫婦で「385じま△ストア」を経営。

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